遠藤湖舟は自然界における美の神髄をすくい取ろうとする作家である。
「美」はいたる所にある。
だが見なければ存在しない。
だから「見つめたい」と、
彼は思う。
「美」は移ろう。
だからそれを「留めたい」と、
彼は願う。
彼にとって写真は、「視覚の拡張機械」として彼の手の中で自在に機能してきた。
そして時間と空間を切り取り、対象を直感的領域から詩的領域あるいは論理的領域へと転移させてきた。
また、「見つめること=思考」であると考える彼は、宇宙から微生物まで、そのすべてを見つめようとしている。
彼の写真を見て、人々は言う。
「胸の奥にある微かな記憶を呼び起こされる」
「いたるところに美が宿ることを気づかされる」
「地球や宇宙の美に包まれていることを知った」
長野県の野山や星空。その豊かな自然に触れた幼少期が、彼の感性の原点であろう。
今は、東京という都市から、変遷する自然を見つめている。
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